家族とつながる

お客の多い家族の記憶①「オッカァサ~ン、キィテクレルゥ~!?」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

在家仏教を信仰する両親と三人兄妹(私は末っ子二女)。
そしてなぜか次々とわが家を訪れる人々との、なんとも不思議な日々。

昭和の終わりの混沌とした記憶を、自らが子育て奮闘中の今、順不同に綴ってみる。
多少、盛りつつ♪

☆「オッカァサ~ン、キィテクレルゥ~!?」

当時小学生の私が、夕方のアニメを見ながらちゃぶ台でご飯を食べていると、またあの甲高い声が飛び込んでくる。
メイメイは、オシャレでさらさらのロングヘアが似合うベトナムの美女。マンションの最上階に夫婦で住んでいる。
オカアサンとは私の母のこと。「ジェムシーね、ヒドイのよ!」

「ノ~。悪いのはメイメイね」。間もなく現れたダンナは香港出身の色男・ジェムシー(子どもの私にも一目でわかるほどの)。

6畳間の小さなちゃぶ台を挟んだ夫婦げんかは、感情が高ぶると、それぞれのお国の言葉の応酬になる。
頭上で行き交うけたたましい外国語を聞き流し、見たいアニメに集中する技を身につけた私。

そして、にぎやかな口げんかが一段落した頃、台所で夜の支度をしている母が、若く美しい夫婦に笑顔で声をかける。
「気が済んだ? 夕ご飯でも食べていく?」

「タイジョブ。帰るネ」と手を繋ぎ出ていく男女を見送るでもなく、私はテレビに顔を向けたまま、毎回思う。
――何しに来てんだ!? あの二人。

しかし母には何も問わず、代わりにメイメイの口真似をしてみる。
「キィテク~レルゥ~!? タイジョブ、タイジョブ。”だ”って言いにくいのかな?」

何ごともなかったかのように、父の晩酌と、私よりかなり年上の兄・姉の夕ご飯の支度に戻る母。

狭く薄暗い古マンションの台所(「キッチン」という表現はふさわしくない)で、
その横顔は、少し笑っていた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
三代目 B soul主婦

三代目 B soul主婦

投稿者の記事一覧

祖母の代から始まり、在家仏教信仰三代目のアラフィフ主婦。信仰に篤い両親だが、一切押し付けられることなく自由奔放に育つ。仕事も遊びも全力投球の20代30代を経て、高齢出産を経験。
やっと自ら仏さまの教えを求めるようになり、特に根本仏教に惹かれ、「子育てと信仰、ときどきお仕事」な日々を楽しむ。

関連記事

  1. さくらちゃん、新たな一歩を踏み出せたよ!
  2. お客の多い家族の記憶②「押し入れの親子」
  3. 母と過ごした最後のお正月です
  4. 1日たった10秒のハグ(後編)
  5. 思いが伝われば心が満たされる
  6. 1日たった10秒のハグ(前編)
  7. 娘との温かな時間
  8. 娘からの電話

新着記事

宗教観を素粒子レベルで紐解いてみる:この世界の仕組みを理解すれば人生がより楽しくなる④

●波動エネルギーと縁起観人間はDNAの設計図を利用してタンパク質を合成し、細胞をつくり、それ…

第5回 開発僧(かいはつそう)の存在を知る

休みになる度にタイを訪れるようになった大学時代。私は興味を魅かれる方たちに出会いました。開発僧(かい…

娘との温かな時間

娘から電話がきました。急性腎不全の飼い猫レオンは、点滴を打ち少しずつ良くなってきたとのこと。…

人との繋がりが孤独を癒す

友人たちと一緒に取り組んでいる引きこもりの若者や家族への支援活動の中で痛感するのは、安心できる人や場…

宗教観を素粒子レベルで紐解いてみる:この世界の仕組みを理解すれば人生がより楽しくなる③

●なぜ4代前の先祖まで供養するのか?立正佼成会では、「4代前のご先祖さままで供養しなさい」とよく…

【ヤッシーのきまま見聞録①】

私の名前はヤッシー。会社人生は終わった人ですが、第二の人生はこれから。会社の重しが取れた身軽さで見た…

PAGE TOP