エッセー

不思議な夢 #2

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前回の不思議な夢の続きです。

夢の正体は定かではない。寝ている間に、記憶をつかさどる脳内の海馬の奥底に潜む何かが隙間から滲み出して来るのかも知れない。キリスト教信徒の人々の中で殉教してしまいそうな雰囲気を身にまとった人に会うのが苦手に感じる。何故なのか?ぼんやりと考えてみる。既に40年近く前、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世が1981年2月来日された。その前後、数か月間、絵が無性に描きたくなった。何年ぶりかで、机にあったパステルと画用紙で模写絵を何枚か、週末毎に時間をみつけては描いたことを思い出した。ローマ法王と模写絵から日本人で初めて西洋画を描いた人物に行き当たった。

その人は山田右衛門作という。キリシタン大名有馬晴信の日野江城下のセミナリオで8人一緒に選ばれた少年が模写絵を習っている。その中の一人、リノ山田と云うのがこの人らしい。この人は島原の乱の唯一の生き残りであり、裏切り者として知られている。

島原の乱は、江戸時代三代将軍家光の時に起きた。日本の歴史上最大規模の一揆となっている。事の起こりは、関ヶ原の戦の後、有馬氏が日向に移封となり、その後に移ってきた松倉氏の野心に基づいた異常な重税と過酷な税の取り立てにある。耐えに耐えていた住民の怒りが、爆発したことによる。この時右衛門作は、有馬氏のお抱え絵師から、日向移封には同行せず多くの家臣と共に島原に残っている。そして、口之津の庄屋に成っていた。一揆勢から、息子を人質に取られ参加を迫られたが、断り続け、二度目にしぶしぶ参加したといわれている。この時点で右衛門作はキリスト教を捨てていたのかどうか分からない。仏教徒に成っていたという人もいる。一揆勢は島原城を攻め二の丸まで落としたが、本丸は抜けず。原城跡に立て籠った。そこに天草勢も加わり、美少年で名高い天草四郎が総大将に成り、キリスト教徒たちが乱の主導権を握っていった。キリスト教徒とそれ以外の一揆参加者は半々といわれている。反乱軍の軍旗は右衛門作が描き、今も国の重要文化財として残っている。また、原城跡本丸の守備隊長を務めており、攻城軍との折衝役を務める副将格の一人と目される役割をしていた。

何度も幕府派遣の攻城軍を撃退していたが、いよいよ落城必至と云う局面を迎えていた。
そこに至る前に原城跡外で、寄せての武将の代表格の一人と場内一揆勢の折衝役として、お互い二人ずつで接触を持っている。これは証人役も付いた正式の話し合いと思われる。一揆勃発時城内の人数は島原地区の老若男女、子供まで総ての住民と、天草からの参加者で、3万を上回っていたといわれる。その後、城内の右衛門作より、矢文が放たれる。城内にはキリシタンではない、圧政に耐えず止む無く参加したものも半数はいる。自分が天草四郎を殺すので、総攻撃の時キリスト教徒以外で城外に逃げ延びるものの命は助けてほしい旨したためられていた。この矢文が発見されるのが遅れる。このタイミングのずれで、攻城軍側からの返信は、城内の他の人間の手に落ちる。裏切り者として、右衛門作は捉えられ、目前で見せしめに妻子が殺される。本人はどういう訳か、手かせ足かせをされて、牢に放り込まれる。

総攻撃は予定通り、進められ城内の老人子供に至るまで全員殺戮される。この時の死体の数は2万5千人といわれる。少しは生き延びたものがいたのかもしれないが、生き残りは後に牢内で見つけられた右衛門作だけと伝えられている。この乱の生き証人として、攻城軍の幕府派遣総大将の松平信綱により生かされる。南蛮絵も良く書くということで、江戸まで連れて帰られる。この時66歳。江戸では模写絵で覚えた聖画を描き踏み絵に使われたと伝わる。また、茗荷谷の切支丹屋敷の手伝いもしていたといわれる。後に、長崎の故郷に返され、83歳まで生きた。苦い過去の記憶の重荷を背負った長い晩年だったと思われる。故郷には誰も残っていなかったであろうが、墓は口之津に残っている。

次回も夢の話の続きです。

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団塊世代、重厚長大産業出身、第二の人生真っ只中。

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