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第4回 バナナで火を消すお坊さま

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大学の恩師、鈴木規之先生と、スカトー寺副住職プラユキ・ナラテボー師との不思議な縁を通して、私はますますタイへの関心を強めていきました。 今回は、私にとって大切な体験となった出来事についてお話しします。

90年代前半、当時のスカトー寺及び周辺寺院のお坊さまたちは、急速に減少していた森林を保護するための活動を積極的に展開していました。ある日、若いお坊さまと在家の方数人と一緒に私も森へ行こうと誘われました。まだタイ語がよくわからなかったのですが、これも体験だと思い、何も持たずに後について行きました。

しばらく歩いて行くと、山火事のあとが残っていました。黒ずんだ樹木が倒れ、よく見るとまだ火種がくすぶっています。その火種を消すために、お坊さまたちは森へ入ったようでした。私は彼らがどうするのかを、注意深く見ていました。誰もこの火を消すのにふさわしい水は持っていません。持っているのは、ただお坊さまが手にしている小さなナタだけでした。

すると、ふっとお坊さまの姿が私の視界から消えました。しばらくして戻ってこられると、彼はある植物を手にしていました。。バナナの木の芯の部分です。それを樹木の火種にトントンとたたきつけ、火はしばらくすると消えました。そして彼はまた別の火種を見つけると、トントン、トントンと、何度か同じ行為をくりかえしたのです。

私は呆気にとられました。バナナの芯に水分がこんなに含まれていたとは知らなかったからです。それだけではありません。お坊さまはそのことを知って森に入り、ナタでバナナの芯を取り出し、火種を消す−こんな省エネルギーな方法で火が消せるなんて!なんて、すごい!と思いました。もし日本で同じような場面があったなら、完全装備をして、いっぱいのタンクを担ぎ、重さに耐えながら汗にまみれて火を一生懸命消しているだろうと想像しました。

もちろん私の見た僧侶の行動は、森林保護活動のひとつのシーンでしかありません。本格的な山火事が起こった場合は先のようにはいかないでしょう。ただ、私はいつもと同じサフラン色の袈裟を着たまま、火種に向き合っていた姿を思い出すとき、私自身が自然の知恵からどんどん離れていってしまっている感じがしたのです。

その日、私たちは森の奥まで行き過ぎたようで、日が暮れてきました。すると一緒にいた女性が「今日は森の中で寝るよ」と私にさらっと告げました。「えっ!ここで?!テントも何もなしに?」と驚きましたが、致し方ありません。腹を括って、持っていた薄いショールで身を包みながら、恐る恐る横になりました。すると、またびっくり!真っ暗だと思っていた空に、数え切れない星たちがきらめいていました。

自然と共に暮らすことから、私の知らない学びがもっとあるのかもしれない。。そう予感しながら、大自然の優しさの中で眠りについた体験。それは、今でも忘れることができません。

 

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浦崎雅代

浦崎雅代

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1972年沖縄生まれ。東北タイ在住。タイ仏教に関する翻訳や通訳・気づきの瞑想ファシリテーター。note(有料記事)にてタイ仏教の説法を毎日翻訳
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