エッセー

【ヤッシーのきまま見聞録①】

私の名前はヤッシー。会社人生は終わった人ですが、第二の人生はこれから。会社の重しが取れた身軽さで見たこと、聞いたことをきまま(気まま、生まま)にお伝えします。きままなので、悪しからず不定期です。

 ≪東福寺の大涅槃像(図)≫

3月14日、京都五山の大伽藍、東福寺の本堂で公開されたお釈迦様の大涅槃像(図)を参拝しました。東福寺の大涅槃像は室町時代初期の画僧・明兆が1408年に描いた、縦約12m、横約6mの大作で、以前から一度は参拝したいと思っていました。お釈迦様の涅槃会は旧暦の2月15日に執り行われるところが多いのですが、東福寺では毎年3月14〜16日に勤修されます。

東福寺の本堂

仏殿に掲げられた大涅槃像の大きさにまず目を奪われますが、ほかにも興味深い描写がいくつもあります。四方を沙羅双樹に囲まれた宝台に、北を枕に横たわるお釈迦様を、悲しみにくれる諸菩薩や仏弟子たちが取り囲んでいます。そして多くの鳥獣も。その中に何と猫がいるのです。

猫は業が深く十二支にも入れずお釈迦様とのご縁が薄かったと言われていますが、この涅槃像にはしっかりと描かれています。寺伝では明兆が涅槃像を描いていると、裏山の谷から一匹の猫が現れて、くわえていた絵具を明兆に献じたそうです。明兆は喜んでお礼に猫を画き加えたと言います。今では「魔除けの猫」として大いに存在感を発揮しています。猫が現れたという谷は、紅葉の美しさで有名な通天橋の洗玉澗の奥にあり、「絵具谷」と呼ばれていたそうです。

猫のほかにも象や鹿、ラクダ、亀など干支にはいない動物も数多く描かれています。エト(干支)セトラ、エトセトラですね。

横臥されるお釈迦様の頭上の沙羅双樹の木に袋のようなものがぶら下がっています。これはお釈迦様のお母様である摩耶夫人が息子の容態を案じ、天から投げた薬の袋だと言われています。お釈迦様のところには届かなかったわけですが、これはお釈迦様であっても「生きとし生けるものは必ず滅す、すべては移ろいゆく」という仏教の諸行無常の教え、真理を表していると言います。托鉢に用いる袋という説もありますが、私は「薬の袋説」に惹かれます。これが「投薬」という言葉のもとになっているというしゃれた話になるからです。

大涅槃像は撮影禁止ですのでここでは写真でご紹介できませんが、ぜひご興味のある方は次回以降の公開で参拝してみてください。

花供御(はなくそ)

東福寺の涅槃会ではお釈迦様のハナクソを味わえます。というとビックリですが、これは「花供御」といって正月に供えた鏡餅をあられにしたものだったそうです。昔は供物や供花をされた方にお礼で配られたそうですが、現在は米菓として一袋300円で販売しています。食べやすい美味しいあられです。

念願の東福寺の大涅槃像を参拝した後は、花供御と沢庵をつまみながら甘酒をすすって一息。「今度は紅葉(こうよう)の時期に来よう(こうよう)」と高揚した気分で東福寺を後にしました。


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ヤッシー

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