エッセー

病と付き合うとき#5

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若き日々の無茶苦茶の仕事の仕振り、そして、食生活のつけは確実に来た。後年の努力により、タイミングが、遅くなっただけだ。甘いものでは、なかった。

それは、第一の会社勤め人生が、一段落した六十歳過ぎに、起こった。

本来の性分が出た。気が緩んでいた。前の晩、友人達と外食した。二次会で、止めればいいものを、昔懐かしい、強めのリキュールを飲んだ。翌朝、目覚めると、左の眼がおかしい。焦げ茶色の壊れたブラインドが、斜めに垂れ下がったようだ。少し、隙間から、モノが見えている。これは何か、まずいことが起こった。右目は、見えている。頭では無さそうだ。左目の異変だ。直ぐに近くの眼医者に行った。

眼底出血だ。来るものが来たかと思った。その後に、脳内で起こる出来事より、衝撃は大きかった。目の下の方に、血が、沈殿するのを一月ほど待つ。それから、精密検査だ。眼科で有名な大学病院に行った。連続して出血すれば、目が見えなくなる。両方やられれば、何も出来なくなる。目が眩む強いライトを、麻酔で開かれた瞳孔内に、照射され、眼底写真を何度も、何度も撮った。予備的に、出血しそうな箇所のレーザー治療を受けた。後は、数か月間、体が血を吸収するのを待つのみだ。

健康維持の為、直ぐに趣味のゴルフを再開した。「片目のジャックだ。」とか言いながら、ショットをする。グリーンに近づいて、アプローチをする段になると前傾に成る。目の中の滞留物が、黒目に懸ってくる。自分とボールの距離がつかめない。度々、ミスをする羽目に成った。しかし、めげずに励むのは、得意のパターンだ。これより、眼科医へ、半年に一度は検査に行く付き合いが始まった。目と同じレベルの毛細血管が、体中で蝕まれ始めた印だ。腎臓が候補だが、幸い、まだその兆しはない。

次にやって来たのは、頭だ。六十代半ば、脳梗塞。夜シャワーを浴びていたら、左手が痺れている。これは、なんだと思い、足に力を入れてみた。左足に力が入らない。痺れている様だ。他の部分に支障はない。風呂場からモノを伝いながら出た。ベッドで横に成りながら、体の各部署を観察してみる。緊急事態ではなさそうだ。翌朝、タクシーに乗り、ご縁のある病院で、MRI検査を受けた。この時のMRI装置の精度では、厳密な結果は分からなかった。

一週間後に、海外に出張することに成っていた。人生第二段で始まった仕事だ。今までの会社勤めの延長でない。非営利組織の経営改革のお手伝いが始まっていた。この時の診断は、小規模の脳梗塞だった。痺れの症状は既に薄れている。従い、血液をサラサラにする薬を飲み続け、経過を見ることに成った。海外出張にも、予定通り出かけた。何事もなく無事帰国。若い人々とのハードスケジュールも問題なかった。

つぎに、もっと深刻なことが、脳内で起こった。脳内出血だ。六十七歳だった。兄から言われた、六十九歳より、二年早く起こった。その晩もシャワーを浴びていて起こった。突然、右肩から下が、全く感覚が無くなった。何か起こったぞと思った。用心深く、体の各か所の機能を確かめる。両足とも力は入った。脳梗塞の前回とは違う。風呂から出ようとしたら、歩けない。這って出た。体のバランスが保てない。頭で何かが起こっていた。

ベッドまで這って行く。横に成りながら、再び、体の各部署の機能がどうなっているか確かめる。他は大丈夫そうだ。そのまま眠気に襲われて寝てしまった。本来なら、これは致命的なことに成る恐れがあった。一刻も早く、病院に行くべきだった。幸いこのケースも、後々分かることだが、何かに守られていることのお陰様だった。

翌朝、目覚めると、右手の痺れと、歩けない状況に変わりがない。前回のご縁のある病院に、電話した上で、タクシーで行く。直ぐに、CTスキャンとMRI検査をする。この結果は驚くべきことに成っていた。

次回はこの脳内出血の顛末とその後のお話です。

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イチゾウ

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団塊世代、重厚長大産業出身、第二の人生真っ只中。

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