社会とつながる

“声をかけ合う街”づくり奮闘記 その1

年末のある日私は、対立の中で調和していくことができたらいいなぁと思っていた。

そんな時に町内の総会があり、一年間、会計の役をしていた私は、会長、副会長と共に参加した。

私は、集合住宅に住んでいる。8棟あった今までの住宅が老朽化したため、壊したり建て直しをする中で、新築された今の住宅に、いくつかの棟から合流する形で69世帯が住んでいる。そのためか、縄張り意識のようなものも生まれているようだ。

この日の総会には、町内の半数以上の人たちが集まった。報告することも一通り終わり、要望などを聞くコーナーになった。今まだ3年経ったばかりの新しい町内の仲間だが、今回の役員の責任でもないことを問い詰めるように言いだす人たちもいて、会長も答えに困る場面が多々あった。

その中の一つに、清掃奉仕に関する意見があった。私たちの町内では年3回清掃奉仕があり、欠席者には罰金として千円徴収することが決まっているが、それでも欠席する人がいる。そのことに対して、「『罰金が安いから払えばいいや』といって参加しないんやから、もっと高くすればいい!」と一人が言うと、「そうだ、そうだ!」と同調する人も出てきた。

それらの意見に会長も困った様子なので、私も意見を出した。「私は、罰金を上げる、上げないはわからない。だけど、忘年会も新年会もない中で町内の人が顔を合わせられるのは、清掃奉仕の時だけ。だから、『元気やった?』とか、『久しぶりやね』とか、『今度の掃除、一緒に出ようね』とか、声を掛け合うのはどうですか?」と言うと、一斉に拍手をされて、もう、ビックリした。

総会が終わってからも何人もの人が「握手をしてください」と私に手を差し出し、泣きながら私のそばに来る人もいた。それは、年が明けてからもつづいて……。

私は、年配の人や病気の人が、孤独と不安の中で生活していることを感じて、実行に移さないといけないと思った。

そこで私は、昨年一緒に役員をした3人(会長、副会長、駐車場の役)に集まってもらい声かけ運動の提案をしたところ、みんなの顔が曇った。理由を聞いてみると、昨年の冬のこと、私が住んでいる福井は記録的な大雪だった。集合住宅なので屋根雪までは問題なかったが、広い青空駐車場にある個別の駐車スペースには除けた雪の置き場所もなく、あちこちで喧嘩が勃発したそうだ。役員の家にまで押しかけ、インターホンを鳴らして怒鳴り込んできて、副会長は恐怖でドアを開けられなかったらしい。駐車場の役の人は毎日怒鳴られながら、他人の駐車スペースの雪を除けていたという。

私はその大雪のとき、たまたま車で30分ほどの距離にある娘の家に居て、急に雪が積もり一歩も動けなかったために、役員のみなさんが辛い思いをされていたことを何も知らなかった。私の主人は自宅にいたのだが、役員のみなさんから何も言われなかったそうだ。きっと、私のことを思いやってくださったのだと思う。

理由を聞いて私は、心からお詫びとお礼を言わせていただいた。その上で、「もし、この集合住宅に住んでいるみんなが仲良しやったら、同じようなことがあっても怒鳴ったりしなくなるんじゃないかな?」と提案すると、みんなは私の話に共感してくれた。そして、「いっぺんにではなくても、各階とか、両隣とかから声をかけ始めればいいんやね」と言ってくれた。ほんとうにみんな、良い人たち。私の心は温かくなった。

私は、今、孤独を感じている人も、声をかける側になってくれれば、きっと、幸せな温かい思いになって、元気になれるのではないかと思うようになってきた。

私は、この声かけ運動を、もっともっと広げていきたい。私が住む住宅を、災害にも強く、元気なところにしていきたい。

でも、まだまだ未知数で、どうすればいいか分からないことばかり。

声をかけてもらえるのを待っているお年寄り。気持ちはありながらも、自分たちの生活に精一杯で、積極的に声かけするには至らない元気な世代。お互いが一歩歩み寄り、少しの勇気を出して、声をかけ合うには…!?

成功例や失敗談、どんなことでもいいので、いろいろな人から知恵をもらいながら進めていきたい。


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