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第8回 浮気疑惑の処方箋③〜夫のニーズを把握せよ

<前回のお話>
第7回 浮気疑惑の処方箋②〜妄想列車の車輪をロック!
http://hotke.jp/2020/02/12/浮気疑惑の処方箋②/

 

浮気封じの極意とは

夫の浮気疑惑に悩むユリに、「離婚を考えていないなら、“夫を信じる”と腹を決め、湧いてくる疑惑の妄想は“ヴィパッサナー瞑想”による“心の実況生中継(ラベリング)”で止める」というアドバイスをしたキタオ。

しかし、「夫が飼っている浮気の虫を封じ込めないと安心できない」と、横から食い下がるユキコ。どうやらすっかり他人ごとではなくなっているようだ。
そこでキタオは、効果の高い浮気封じの方法を二人に紹介することにした。

「では言いますね。その方法とは・・・」
「方法とは!?」。二人の声がそろう。
「ズバリ、家庭を夫にとって居心地良くすることです。」
「え、それだけですか? なんか普通のことのような・・・。」とユリ。
「普通ですよ。だって仏さまの教えは・・・」
「当たり前のことを当たり前に実践すれば幸せに生きられる、でしょ? そうでした、そうでした!」とユキコ。さすがに分かってきている。

「ということでユリさん、最近ご主人は家でどんな様子ですか?」
「そうですねぇ、お風呂に入った後は普通にご飯を食べて、テレビを見たりスマホゲームをやったり。特に不満を持っているようには見えません。子供が近寄って行けば相手もしてくれますし。」
「失礼ですが、ご夫婦の寝室は一緒ですか?」
「子供が小さいときは別でしたが、最近は一緒に寝ています。」
「それはいいですね。まあ、あなたのお話を伺っているかぎり、浮気の心配はほとんどいりませんよ。引き続き、ご自身の妄想に振り回されないよう、ラベリングを忘れずに。」
「はい、分かりました!」とユリがスッキリした表情で答え、話が終わるかと思いきや、ユキコから物言いがついた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!『ラベリングを忘れずに。』 『はい、分かりました!』で話、終わりですか!? なんで家庭の居心地を良くすることが浮気封じにつながるのか、そもそも居心地を良くするってどうすればいいのか。その辺をもっと詳しく教えてくれないとー。」

キタオは苦笑しつつ、話を続ける。
「一応ユリさんへのアドバイスは完了したんですけどねぇ(笑)・・・分かりました。もう少し詳しくご説明しましょう。

まず、『男女いずれも浮気性の程度には個人差があり、こちらが頑張れば浮気が治る場合と、頑張っても治らない場合がある』ということを理解する必要があります。」
「え?治らないこともあるんですか?」それは話が違うとばかりに、ユリも身を乗り出した。

「もちろんありますよ。たとえば、妻の愛情不足から浮気に走った夫は、妻の態度や行動に愛情を感じられるようになれば、浮気をやめる可能性が高い。
ところが、夫婦関係に目立った問題がなくても浮気をする夫や妻も多いですよね。この人たちは、配偶者からは得られないセクシャルな刺激を他に強く求めているわけですから、こちらが少々優しくしようが尽くそうが治りません。」

「えー、じゃあお手上げじゃないですか!」とユキコ。

「まあ、こちらが浮気相手以上の刺激を与えられれば浮気をやめる可能性もありますが、なかなか難しいですよね。」

「まったく、なんのための一夫一婦制なんだか。」ユキコの不満が止まらない。

「法律や倫理はあくまでも社会生活が円滑に営まれるためのもので、個人の煩悩を制御する力はありません。せいぜい、違反者には刑罰や社会的制裁を与えるぞと脅すくらいしかできませんからね。

永遠の愛を誓い合って結婚したはずなのに浮気をされるのも苦。調子に乗って浮気した方も、ひとたび露見すれば大変な目に遭う。さらには、子供ができれば子供で悩み、親と暮らせば姑で悩み。とこう見てくると、結婚というものは極めてリスクが高い(笑)。お釈迦さまが、良家の子息を結婚前に次々と出家させた理由も分かる気がしますね。」

 

夫のニーズは本人に聞くのが一番

「なるほどねー。それでキタオさんの見立てとしては、ユリさんのご主人は浮気性の煩悩がそんなに強くないということなんですか。だから、家庭の居心地を良くすれば、浮気を封じられる可能性が高いと。」有能な司会者ユキコが話を本筋に戻す。

「そうです。で、人間は心地良い場所や人に魅かれますからね。」

「でも、居心地ってどうすれば良くなるんですか?」とユリ。

「それはご主人に聞くのが一番です。『あなたの居心地をもっと良くするために、私は何をすればいいですか?』というようにね。こうして、ご主人のニーズをきちんと把握し、それに応えてあげることがポイントなんです。

たまに、『私は一生懸命夫に尽くしているのに、夫は全然感謝してくれない』と嘆く奥さんがいます。話をよく聞いてみると、その奥さんは料理好きなものだから、毎晩腕によりをかけて五品も六品もおかずを作ると言うんです。

ところが夫は全然喜ばない。なぜなら、そのご主人は食べ物にあまりこだわりがなく、口に入れば何でもいいというタイプの人だったんですね。そのかわり、部屋の中が散らかっているのを極端に嫌う。

でもその奥さんは掃除が苦手で、ご主人から部屋を片づけるよう注意されても、つい手を抜いては怒られていたわけです。
当たり前ですが、夫のニーズに合わないことをいくら頑張っても喜ばれないんですよ。」

ようやくユキコが首を縦に振る。「そうかー、納得ですね。でも、浮気の煩悩が強い夫には、家の居心地を良くしても効果が薄いんですよね。その時はどうしたらいいんですか?お手上げ?」

「基本的にはお手上げですかね(笑)。そのかわり、妻には選択権があります。夫の浮気性は持病だと割り切って、それなりに生活を続けてもいいし、夫と浮気相手から慰謝料をキッチリ取って離婚してもいい。離婚すれば、不実な夫を家庭に取り戻そうと頑張る必要もなく、スッキリと第二の人生を始められますよね。」

「話はそう簡単じゃないですよー。家庭があって子どもがいて、経済的な問題やら世間体なんかもあるし。」とユキコ。
「まあ、そうでしょうね。いきなり離婚となると、夫婦の利害得失が複雑に絡んでなかなか悩ましい。かといって夫の浮気性を受け入れるのも嫌だ。そんな時は、夫婦で誓約書を取り交わすのも一つの手です。」
「誓約書?」と、二人が首をかしげる。
「夫婦の関係を改善するための具体的な方策をじっくりと話し合い、そこで誓約したことを書面として残しておくんです。”夫婦 誓約書”というワードでネット検索すれば、詳しい説明が出てきますよ。

離婚の三大原因は”不倫・借金・暴力”だそうですが、決定的な段階に至る前に夫婦で話し合って誓約書を作り、離婚を回避できたという事例も結構あるようですね。」

「なるほどー。そういう方法もあるんですね。平和な家庭づくりは居心地の良さとコミュニケーションからってことですよね。私も今日は、久しぶりに旦那の晩酌につき合おうかなー。」とユキコ。

ユリは、縁がわを訪れたときとは別人のように、爽やかな表情と張りのある声で言った。「うちの主人は、今のところ誓約書までは必要なさそうなので、まずは疑うことをやめて、本人にニーズを聞き、居心地のいい家庭の雰囲気をつくることから始めてみようと思います。」

「キタオさん、ありがとうございました!」と手を振る二人の姿を、梅雨の晴れ間から覗いた太陽が明るく照らしていた。

 

サティ〜ず

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仏教が大好きな二人による、ホッと家オリジナルユニット。

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